建物を傷めず木部再生 岡本建装のエアー鉋
岡本建装㈱（和歌山県和歌山市六十谷、岡本昌昭社長）が施工する「エアー鉋（かんな）」が好評です。木造建築物を中心に既存の塗膜や蓄積された汚れを取り除きながら本来の美観を取り戻す新工法。昨年秋から取り組んでいます。
同社はエアー鉋を開発した㈱グランドライン（滋賀県草津市、早川悟社長）の施工代理店。溶剤などの水分を使わず、払う・削る・剥ぐ・粗すの作業工程を一台のかんなで行う乾式工法（特許第６２０６８９８号）で、県内では初めての導入となります。
ノズルから空気と木質チップを混合したものを対象物に噴射すると汚れや腐朽菌、劣化層が除去でき、繊細な仕上がりと施工時間の短縮を同時に実現できる環境に配慮した自然素材を使ったやさしい工法です。
特に神社仏閣など長年が経過した建造物の場合、従来の薬剤を使用する灰汁中洗いといわれる工法では、木材の劣化や腐食の原因になるとされています。エアー鉋はミクロン単位で細かい部分まで汚れを取り除き、防腐剤を塗布するための下地処理として威力を発揮します。そのため修復よりも安価でかつ短期間の工期で済み、長寿命化が実現します。
全国の神社仏閣や純和風建築の住居などでエアー鉋を使った施工例が増えてきており、世界遺産の京都・二条城や数々の国の重要文化財にも採用されています。
３月２５日、建立から約２２０年経過している梶取本山総持寺（和歌山市梶取）内の手水舎の汚れを取る除去作業を岡本さん自らが行いました。
岡本さんは「今回の作業は人に例えるなら８０歳の肌を４０歳の肌に戻すような作業を実施しました。総持寺のような歴史のある建造物の建て替えなどを行う場合、大きな費用がかかると悩む声をよく聞きます。素材を傷めず再生できる画期的な工法を県内に広めていき、一つでも多くの建造物を守っていきたい」と話しています。
問い合わせは同社（℡０７３・４６２・１２８１）。
総持寺で木部再生の作業風景
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April 05, 2020 at 08:00AM
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