展示は、場の診断から最も重要な前提を発見する“姿勢”、場がうまく回り出す転換点の探求を意味する“適応”、場に適応する建築とその周辺への影響を表す“様相”の3つの枠組みから分析し、会場全体にちりばめている。母屋と離れて庭をつなぐリノベ―ション物件の“始めの屋根”や個人宅の“リビングプール”、日比谷シャンテの“イソップ(AESOP)”の店舗などさまざまなプロジェクトの考察から実現にいたるまで、プロセスを垣間見ることができる。
彼らが初めて設計したのは住宅の塀だった。10m足らずの壁だったが人の生活と庭の植生、街並みを変えていくのを実感したという。彼らは自分たちが思い描くものを形作るための設計はしない。2人は常に各プロジェクトがどのように設計されるべきか、周囲にどのように定着できるかを考え抜いて設計。「WWDジャパン」の連載でも、渋谷パルコや渋谷スクランブルスクエアなどの商業施設の設計はもちろん、街と溶け込む共生性などを踏まえ、鋭い批評を繰り出している。境界線や窓、基礎、軒といった見過ごされがちなディテールに潜む価値を発見するのが2人のスタイルだ。
初の作品集「アダプテーション 増田信吾+大坪克亘」は、同ギャラリー2階のブックショップTOTOで販売中。同書では、現実に向き合い率直なアプローチでまだ見ぬ建築の可能性を探る2人の作品と写真家の永井杏奈が撮り下ろした場の空気感を取り込んだ写真が収録されている。同展の会期は3月22日まで。
■「増田信吾+大坪克亘 それは本当に必要か。」
日程:2020年1月16日~3月22日
場所:TOTOギャラリー・間(3階、4階)、セラトレーディング東京ショールーム(地下1階)
住所:東京都港区南青山1-24-3
休館日:月曜・祝日(2月23日は開館)
開館時間:11:00~18:00
入場無料
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