クラウドファンディング(クラファン)を活用したデザイン思考型商品開発の特集の第3回は、累計で約1億6000万円を調達した革製品ブランド。建築家が新規事業として始めた財布やドキュメントフォルダーがヒットした秘密は、ユーザーの声に対応する開発姿勢とクラファン開始前の仕掛けにあった。
【関連画像】HITOE FOLDを広げた状態。紙幣10枚、コイン15枚、カード6枚が入る。カード入れとコインポケットを重ならない配置にしたことで、折り畳んだときの薄さ13ミリを実現した
日本でも注目され、取り組む企業が増えてきたデザイン思考とは、ユーザー視点に立ち、その課題やニーズをつかんで解決方法を探るという考え方。プロトタイピングを駆使し、仮説検証を繰り返す。クラウドファンディングをベースにユーザーをうまく巻き込みながら進める開発プロセスは、期せずしてこのデザイン思考に近いものになる。
「SYRINX(シュリンクス)」も、そんな事例の1つだ。建築家の佐藤宏尚氏が2016年に設立した革製品のブランドで、クラウドファンディングを利用し始めたのは18年から。これまでに10回以上利用し、合計で約1億6000万円を調達した。
最初の製品を発表して以来、ユーザーの要望を積極的に取り入れながら、次々にバリエーションを拡大。革製品ブランドとしての地位を築き上げた。デザイン思考の特徴の一つに、仮説検証をスピーディーに回すことがある。SYRINXの場合は、最初の製品を発表した後、ユーザー視点に立ちながら次の製品を開発、さらに次を開発……という具合に、やや長いスパンではあるが常に仮説検証を繰り返してきた。間違いなくデザイン思考型の開発スタイルと言えるだろう。
シリーズの中でも最も多くの金額を集めたのが、20年2月にクラウドファンディングサービス「Machi-ya by CAMPFIRE」で公開した「HITOE FOLD」だ。募集開始から18日間で3500人から約5200万円を集めた。特徴は、薄くて小さい点にある。紙幣10枚、コイン15枚、カード6枚が入り、折り畳んだサイズは縦91ミリメートル、横93ミリ、厚さ13ミリ。
薄い革を使えば、薄い財布を作ることは難しくない。しかし、薄い革は耐久性が劣り、革が本来備えている質感も乏しい。佐藤氏はあえて、通常の財布で使うよりも厚い、約2ミリの厚革を採用した。
財布を薄くするため、カード入れとコイン入れが重ならないデザインを採用。さらに、財布を折り畳む際、フラップ右上にある三角の革を、収納するカードに掛ける独自の留め方を考案した。これによってボタンなどの金具を使わずに済み、薄くてすっきりとしたスタイルを実現している。
この商品は、2ミリの綴じ代でステッチするほか、革が厚くパーツの仮止めも難しく、生産には高い技術力が求められる。それを国内の工房で職人が、1点ずつ時間を掛けて型抜きから縫製までを行っている。そのため生産量は多くない。現在、自社ECサイトに注文が殺到しており、納品まで1年ほど待つ必要がある。
佐藤氏がSYRINXを立ち上げたのは、自身が設計した空間に置きたいスピーカーをデザインし、素材として革を使ったことがきっかけだった。スピーカーを生産する際に、革の端材が出る。それを有効活用するため、名刺入れやスマートフォンケースなどの革小物を開発することにした。当初はこれらの製品をAmazonで販売していた。しかし、「販売数はなかなか増えなかった」(佐藤氏)。
そこで販売促進のため、クラウドファンディングの活用を思いつく。長財布「HITOE L-zip L]を開発し、18年1月にMakuakeで支援者を募ると、700万円の資金調達に成功した。その後、L-zip LをAmazonでも販売したところ、Makuakeで購入した人がユーザーレビューを書き込んでくれた。これが起爆剤となり商品が売れ始めた。「クラウドファンディングは、アーリーアダプターにアプローチするには最適の手段である。売れる、売れないかを考える前に自分が良いと思ったものをクラウドファンディングで公開すればいい。良い商品であれば、アーリーアダプターがレビューなどを投稿することで、そのほかのユーザーに商品の価値が伝わる」と佐藤氏は話す。
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April 14, 2020 at 04:00AM
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