どこからどこまでも、その世界の土で作られた家
インド・西ベンガル州、古都コルカタから電車で3時間ほど北へ向かったところにシャンティニケタンという小さな町がある。アジアで初めてノーベル賞を受賞した詩人、ラビンドラナート・タゴールが学校を造った場所として知られる場所だ。
その郊外、ソナジュリというヒョロっとした木が群生する森の中に暮らす、建築家と陶芸家の夫婦を訪ねた。工房が併設された彼らの家は、洞窟のような、アリの巣のような、なんとも形容できない濃密な質感に包まれている。
夫のビジュト・サルカルさんが近くの村人らと共に建てた家は、太い竹で組まれた構造体に、竹と木で下地が編まれ、その上に分厚い土が塗られている。周囲の森でシルトの土をとり、村人らの家と同じように造ったものだ。そして妻のリピ・ビスワスさんは工房で陶芸品を作る。作品はどれもボテッとした姿格好をしていて、ボツボツとした穴があいていたり、ボトボトと分厚い釉薬が塗られ、今にもこちらに話しかけてきそうな、かわいらしい表情をしている。
ビジュトさんが建築を、リピさんが陶器を。作るモノは違うが、どちらも同じ森でとった素材でできていて、どこまでが建築で、どこまでが陶器なのかの区切りは判然としない。ましてや家と森の区切りもあいまいなままに、彼らのモノづくりは森の中へと霧散していくのだろう。自らの存在の断片を周囲へ散り広げながら、世界と極めて静寂なままに手を結ぶ、ある美しい生活者のありさまである。
写真
左 小キッチンの一角。真ちゅうのボウルが石の作業台に埋め込まれている。壁の穴には、ときどき調味料などが入れてある。
右 上のギャラリーへ向かう階段。建物の屋根のテラコッタも工房で焼かれたもの。
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April 23, 2020 at 10:00AM
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建築家が旅した、世界のたてもの探訪記【第7~9回】 - ELLE
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