イタリア北部が新型コロナウイルスによって破壊され、全国的なロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされる前の生活にこのまま戻るのは愚かなことだと話すのは、環境に優しい高層ビルの設計で知られるミラノの建築家、ステファノ・ボエリ(Stefano Boeri)氏だ。
「これまで通りの生活を求める考えが、この災厄を招いた原因の一つだ」とボエリ氏。「勇気を出して、現実的な決定を下す時がきた」と報道陣に話した。
ボエリ氏は、同業者や社会学者、人類学者、都市計画家らと共に、有事を機に生活様式を変え、都市が「汚染爆弾」になることを防ぐ方法を提案している。
イタリアの著名建築家マッシミリアーノ・フクサス(Massimiliano Fuksas)氏は、ロックダウンが段階的に解除されるにつれて、1970年代に起こったように、都市から地方に移住する人が急増すると主張している。
日刊紙レプブリカ(Repubblica)のインタビューで同氏は、「若者たちはテロ、経済危機、薬物汚染に悩む都市を脱出した。こうした事態は再び起こる」と語り、「ウイルスは(都市よりも)地方の方が弱い。社会的接触が少ないだけではなく、風が吹き、金属やプラスチックが少なく、海が近ければ大気中にヨウ素も多いからだと研究者らも述べている」と付け加えた。
イタリアにはおよそ5800の集落があり、それぞれの人口は5000人に満たない。ボエリ氏によると、このうち2300以上が事実上、廃村になっている。
そこでボエリ氏は、政府がこうした集落を管理して新しい住民を呼び寄せ、税制上の優遇措置を講じて交通網を改善する一方で、ブロードバンドを整備してリモートワークを可能にすれば、都市への圧迫を軽減できると提唱している。
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