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解析モデルのパラメーターを変え、たくさんのオプションから最適解を選択する、という設計手法は、建築エンジニアリングの世界でも一般的になってきている。それは、「いずれAI(人工知能)に設計者の仕事を奪われる」という顛末(てんまつ)に通ずる道を、突進していることになるのだろうか?
今回紹介するプロジェクトは、親日国トルコで完成した、延べ面積100万m2という巨大な病院だ。通常なら、その設計過程で長い検討期間を要するはず。しかし、このプロジェクトでは、デジタルツールを活用しながら、テンポよく、かつ関係者のコミュケーションを促進する形でデジタル技術が使われている。
これが「Optioneering(オプショニアリング)」の理想像なのだろう。オプショニアリングについては本文で触れているので、ご覧いただきたい。(以上、菊地雪代/アラップ)
2020年5月、トルコの古都イスタンブールに世界最大となる免震構造の病院が完成した。その規模は延べ面積100万m2。東京ドーム21個分である。デカい。日本ではなかなか目にすることのないスケールの病院だ。イスタンブールは1550万人もの人口を誇り、今なお人口増加が続く。充実した医療サービスを提供するために、大規模病院が必要とされていたのだ。
新たに完成したのは、「The Başakşehir Çam & Sakura City Hospital(バシャクシェヒール・チャム・アンド・サクラ・シティー病院)」だ。トルコの大手建設会社ルネサンスホールディングと、日本企業の双日が共同出資していることから、「Sakura(サクラ)」の名前を冠する。ルネサンスホールディングは米国の建設業界誌「ENR(Engineering News-Record)」が選ぶ世界トップコントラクターのリストで33位、欧州で9位にランクインしている。
同病院では3つの病棟と6つの診療棟、5つの補助施設棟を備え、総ベッド数2682床を提供する。アラップはこのプロジェクトで構造設計を担当した。
再現期間2500年の地震にも耐え得る免震構造
トルコは世界的に見ても地震の多い国の1つである。本敷地も過去に多くの震災を受け、今なお活動が活発な北アナトリア断層近くに位置するため、大地震に対する備えが必須だった。大地震後も設備や機能を確保し、継続して治療に当たれる医療施設を実現するため、免震構造を採用。3つの病棟と6つの診療棟を一体で免震化した本建物には、2068基もの免震装置を使っている。
免震装置の選定では、日本で一般的な積層ゴム系の免震装置と、米国で一般的なTFP(Triple Friction Pendulum)の比較検討が行われた。日本では免震建物の設計でも再現期間500年の地震を対象とするが、トルコでは米国と同様に、再現期間2500年の地震に対する設計が求められるため、地震時の免震装置の変形は最大700mmにも達する。
この変形への追従性や上部応答、施工期間やコストなどを比較した結果、TFPを免震装置として選定した。免震構造を採用することで、大規模地震の直後でも手術などデリケートなサービスの提供を行えるほどの機能維持を可能としている。
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July 17, 2020 at 03:00AM
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トルコで世界最大の免震建物が完成、設計期間はわずか1年 - ITpro
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