北欧の国々に思いを馳せたとき、美しさを感じる対象は多々あるだろう。自然や町並み、プロダクトデザイン、そして建築も挙げられる。事実として「北欧建築」は、アルヴァ・アアルトといった巨匠の名前とともに、人々を魅了する存在だ。
自分自身の住居を含め、目にしない日はないほど身近な存在であるはずの建築。しかし、時としてどこか遠いものだと思えてしまうことはないだろうか? 「建築って、一体何なんだ?」と。
半田悠人は一度はその道を諦めながらも、それでも魅了され続け、ついに建築家という職業に就いてからも「建築に恋をしている」という。「建築は何となくいいな、で十分なんです。でも、何故いいのかが分かると面白い」と、打ち合わせ時に語ってくれた半田。建築デザインを解きほぐすコラム連載が、幕を開ける。
ドキドキするしもっと知りたい。建築に恋する半田悠人が綴る、コラム連載がスタート
「一冊の哲学書を読むより、彼の建築を見たほうが早い」。そんな一説が書かれていた本を手に取ったとき、私はすでに建築家になることを過去の夢として片付け、文系学生らしく格好つけて哲学書を読みふけっていた。20歳の出来事だった。
白井晟一という建築家がいる。六本木のNOAビルや松濤美術館の設計者だ。「昏(くら)い建築」を謳った彼の本の評価として書かれた文だった。無知だった私は彼の哲学に感銘を受け、そこから本当の意味で建築に向き合うようになった。
そして今、私は建築家として仕事をしている。デザイン会社を立ち上げ、グラフィックデザインから建築設計、アートワーク製作もしている。
気がつけば、建築について本気で考え始めてから10年ほど経った。建築と向き合っていく中で何度も傷つき、諦めそうになっても、窓から差し込む光の美しさに毎度目を奪われ、細部に宿る神様みたいなデザインを見つけては指でなぞってしまう。その細部の効果を確認し、デザイナーに想いを馳せるたびに、私は未だ「建築」に恋をしているのだなあと思う。ドキドキするしもっと知りたい。もっと仲よくなりたいし、自分より親密な人に憧れもする。
なぜこんなにも奥が深いのか、建築やデザインの魅力を少しでも言葉で紡ぎ出したいと思い、このコラムのお話を受けた。
北欧の巨匠アルヴァ・アアルトの妙。人工的だからこそ自然が際立つ
別大学を再受験し、なんとか建築デザインを学び始めた私が最初に向き合った建築家は、アルヴァ・アアルトであった。
北欧の巨匠建築家でありモダンデザイナーである。偉大な建築家だったので、フィンランド紙幣の肖像でもあった。一般によく目にするアアルト作品といえば、アアルトベースだろうか。他にもアルテック(アルヴァ・アアルトと他3名が1935年に立ち上げたインテリアブランド)の「スツール 60」や、アアルトのデザインをモチーフにしたIKEAの家具が多く売られているので、アアルト作品と知らずに使っている人も多いのではないだろうか。
アアルトのデザイン哲学は明快だ。「形には中身が伴っていなければならない」。内は外と、外は内と互いに関係を持って存在している。そこには近代以前のような宗教的なレリーフは存在していない。そして、こうも続く。「中身は自然に繋がっていなくてはならない」。この言葉は建築を勉強したてだった私の行く先を照らしてくれた。屋内空間が自然と繋がるというのはどういうことなのだろうか。彼の名作として一つ、『夏の家』(1954年)を見てみたい。
フィンランドの大自然の中に建築されたものであるが、こちらの建築が示してくれたのは、建築物という人工的なものが挿入されるからこそ、自然はより美しく見えることがあるという、調和のデザインが成り立っていることにある。
北欧のデザインは自然がモチーフのものが多くグラフィカルである。職人の手仕事に敬意を示しながら、長い冬を十分に謳歌するため、インテリアを一層こだわる文化がある。それが独自のデザインが生まれる所以だ。建築以外でも、例えばフィンランドのマリメッコなど、有機的であり土着的なデザインが多い。この点が自然や和を重んじる日本の美意識と重なり、日本で強く愛される理由だろう。
その元となるのがアアルトのデザインとも言える。先ほどの夏の家は、日本古来の土間にも通じる空間的特徴がある。つまり、内なのか外なのかその中庸を作り出している。
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July 15, 2020 at 03:02PM
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