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なぜ一流建築家のホテルは良いのか? 軽井沢《ししいわハウス》の場合(CREA WEB) - Yahoo!ニュース

運転手さんと探し当てた名建築家のホテル

 最近、“有名建築家の建てたホテル”が増えています。今や、旅好き、建築好きが大好物なデスティネーション! 

 インフィニティプールを世に生み出した名匠ジェフェリー・バワのホテルを巡るスリランカの旅、スペイン北部で巨匠フランク・ゲーリー設計のホテル「マルケス デ リスカル」でワインを堪能、といった形で世界中に溢れています。

 なぜ、一流建築家によるホテルが凄いのか? 

 意外にも、その答えが日本の軽井沢にありました。訪れたのは森に囲まれ、こじんまりと佇む「ししいわハウス」。プリツカー賞受賞の坂 茂氏によるリゾートホテルです。

 「ししいわハウス」は強面な名前ですが、それとは裏腹に、木材がふんだんに使われ、優しい雰囲気のプチホテル。客室は10室のみ! 

 森の中の隠れ家といった雰囲気で、周囲に溶け込む木造2階建て。館内のどこからでも、森の借景を楽しめます。

 遠慮深くこじんまりと立っているためか、軽井沢駅でタクシーの運転手さんに「ししいわハウスへお願いします」と伝えると、「いやー、知らないなぁ」と返事。カーナビに入れても、反応なし(取材当時)。

 軽井沢の多くの運転手さんがほとんどのホテルを把握されるなか、「ししいわハウス」は地元でもまだ秘密のスポットでした。

 とにかく獅子岩という地名を目指し、一本道をゆきます。「おっ!  あれかな?  アレしかないなっ」と、希望を託すように指さす運転手さん。その先に、木々の間からホテルの屋根がちょこんと飛び出していました。

 不思議なのは、ホテルの構造。普通だと「四角い」イメージですが、ここは「縦長」。しかも蛇のように、ゆるやかに「くねくね」しています。

 これは、この地に惚れこんだシンガポールの実業家でありオーナー、フェイ・ホアン氏と坂氏のコンセプト「自然に寄り添う」ため。

 チェックイン後、客室へと導かれる沿道でその姿がはっきりとわかります。

うわー!  気持ちよくてたまらん部屋にいながら森林浴 桜や紅葉など250本以上の木々たちに「お邪魔します~」と進むと、客室があるクラスターへ到着。

 面白いことに、1つのクラスターに客室が2~3室にまとめられているんです。1階に2部屋、2階に1部屋などコテージスタイルというか、小さなコロニーのように造られている。各部屋へは1階の共有スペースである “リビングルーム”を経て、客室である“ゲストルーム”へ辿り尽きます。

 しかもリビングルームへ上がる前に、靴を脱ぐという日本式! ここで一気に気持ちが解放されます。

 客室のなかももちろん、木材がふんだん。内装は客室ごとに異なり、ただ共通しているのは「森の中」。どの部屋にいても、まるで大きな森に迷い込んだようで、これこそ贅沢なグランピング!?  と錯覚に陥ります。

 ホアン氏の信念である「Less is more」に添って、テレビも音楽もない部屋。でも、移りゆく時間とともに外を眺めているだけで、あっという間。

 素足で歩く床材の心地よさ、室内の温もりある雰囲気は、五感が研ぎ澄まされていくようで自分が「ニンゲン」だったことを思い出します。同時に四季を目前にし、ニッポンっていいところなんだぁと改めて痛感。

 自然に寄り添うエコスタイルなので、部屋には必要最低限のものしか用意されていません。※ただバスローブのほかに、日本ではパジャマや浴衣はあったほうがもっとリラックスできるのになぁ、と思ったりして……。

ガラス扉一面が開くグランドルームで森とともに爽やかな朝食を 宿泊に朝食はついていますが、夕食はありません。リクエストがあれば地元の滋味あふれる食材を使いながら、ディナーも用意してくれます(要予約)。

 また、ホアン氏はこのホテルでゲストたちに「Get communityして欲しい」と言います。

 そのためホアン氏は坂氏に「人と人が繋がる空間」を依頼。たとえば食事は1階の“グランドルーム”で取ります。

 客室である"ゲストルーム"から"リビングルーム"、そして"グランドルーム"へとゲストを誘導し、無理なく人々が出会えるように演出されています。

 日本と自然を愛し、「これまで自分自身がいろいろな人に助けられたからこそ、人と人はコネクトして欲しい」と強く願うホアン氏。ホテルを建てる際、ニューヨークの有名な建築家など数名に会ったけれど「自分の意図をもっとも深く理解してくれたのが坂氏だった」と語ります。

 「世界中のホテルにステイしながら気持ち良さの真髄を、このししいわハウスで表現したかった。たとえ総工費が高くなろうと、持続ある快適さを坂さんに追求してもらいました。

 何度もやり直しを伝えたけれども、打つと響くように返ってくる。これが世界に名立たるニッポン人か!  凄いなぁと実感しましたよ(笑)」とホアン氏。

 一方、このプロジェクトに携わった坂 茂事務所の佐野俊太郎氏は

「これほど木材を使うプロジェクトは、うちの事務所でも数少ないです。曲線を描きながら幾度もパースをおこし、加えて軽井沢の厳しい建築基準を満たすのは大変なこと。通常より3倍以上の人手と工期がかかりました。

 木材だとメインテナンスが難しそうとよくいわれますが、ついた傷も味になるような仕上がりです。数年後には色も変わってくるでしょうが、それも今から楽しみですね」

 両氏の愛と信念が満ちる「ししいわハウス」。格式高い"ホテル"というより、"ハウス"といったネーミングがぴったりです。

 心地よさの秘密を「なるほど」と頭で理解した矢先、ホアン氏からびっくり発言が。「この近くにもう2軒、建てるんですよ」。なぬっ!? 

 「桜をたくさん植えた敷地も考えています」。なんと! ししいわヴィレッジオープン!? 

  ホアン氏がこの地を愛おしく思う気持ちは、まだまだ溢れんばかり。新ホテルは既にプリツカー賞受賞の西沢立衛氏に依頼済み。「数年後を楽しみにしていてください」と、ほほ笑むホアン氏に期待するほかありません。

ししいわハウス

所在地 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-646電話番号 080-7691-6020宿泊費 35,640円~(1室2名利用、税・サ別)https://ift.tt/2MSori1

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January 03, 2020 at 03:00PM
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